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妊娠中の鼻血や歯肉出血を経験している妊婦さんは少なくないと思います。妊娠すると女性ホルモンの一つであるプロゲステロンは増加し、末梢血管拡張作用があるため歯肉の血管拡張が起こるため出血しやすくなります。これは妊娠初期から起こります。そのため歯肉炎の進行の原因となり、妊婦さんは虫歯や歯周病の治療が推奨されています。
妊娠すると歯肉が腫れている気がしている方もいると思います。歯肉が腫れているだけでは病気ではありませんが、歯周病と判断が難しいので歯科の受診をしたほうがいいと思います。
2006年にOPTトライアルという歯周病合併妊婦を対象にした臨床試験では、治療群と非治療群で早産との関連性は認められませんでした。しかし、2018年にそのデータを解析しなおすと歯周病の治療をすることで流産や早産の低下が期待できるという結果でした。他にも妊娠高血圧症候群や低出生体重児と歯周病も関係があるという報告もあります。
自分と赤ちゃんを守る意味でも口腔ケアは重要です。
妊娠中の歯の治療も、歯科医に「妊娠している」と伝えれば治療可能です。局所麻酔や抗生剤、痛み止めも妊娠中影響がないものを選んでくれると思います。ただし、妊娠後期は長時間仰臥位(仰向け)の姿勢はしんどいかもしれません。そのため、お腹か大きくならない時期で、つわりが落ち着いた時期になったら早めに歯科受診して口腔内のチェックをしてもらってください。
赤ちゃんが産まれたら授乳や子育て等で、ゆっくり歯科に通う余裕もなくなるかもしれません。ぜひ妊娠中に歯の健診を受けましょう。
院長 橋本