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産後の異常出血(分娩後の異常)

異常出血はどれくらいから?

赤ちゃんが産まれた後24時間以内に、経腟分娩で500ml、帝王切開で1000mlを超えて出血が続く場合に、「異常(多い)出血」と産婦人科ガイドラインでは表現しています。

実際には何も異常がなくても経腟分娩後に500ml以上の出血は決して珍しくありません。その場合は適切な処置をすれば出血が減少することがほとんどですが、以下に書くような状態になると早急な医療行為が必要なってきます。

 

異常出血の原因

  • 70% 弛緩出血・・子宮収縮不良。最も多い産後の異常出血の原因です。赤ちゃんが大きい場合・肥満・分娩に時間がかかった場合・子宮筋腫合併などがその原因になります。
  • 20% 分娩時の傷・・分娩時に子宮の出口が裂けてしまったり、血腫(血の塊)が出来てしまうと、縫合・手術するまで出血が止まらないことがあります。
  • 10% 胎盤・・胎盤が子宮から剥がれなかったり(癒着胎盤)、残ってしまったり(卵膜・胎盤遺残)することがあります。
  • 1% 凝固異常・・もともと血が止まりにくい病気がある場合や、羊水塞栓症などの珍しい病気のことがあります。

 

異常出血を起こしやすい人

  • 高リスク(病院で場合によっては輸血の準備をした方がいいです)・・胎盤の位置が出血しやすい位置にある人(前置胎盤・低置胎盤)・血小板が10万以下の人・凝固異常の病気がある人
  • 中リスク(気をつけて分娩後しっかり子宮収縮薬等が必要な可能性がある人)・・多胎・経腟分娩5回以上・産科異常出血の既往がある人(2回目は15%の人が出血が多くなると言われいます)・巨大子宮筋腫・巨大児(推定体重4Kgくらい)・肥満(BMI35以上)

産後の出血の大部分は弛緩出血(子宮の収縮が悪くて出血すること)なので、赤ちゃんが産まれて胎盤が出た後、あっという間に1000ml程度出血することもあります。ただ、子宮収縮剤投与や子宮のマッサージ等で子宮が収縮すると大抵の場合は出血が止まってくるのが弛緩出血です。分娩後、医師や助産師が子宮をギュッと圧迫して出血を抑えようとすることがあるかもしれません。双手圧迫と言って子宮をお腹の上からと膣の中からとで圧迫すると、とても有効に出血を減らすことができます。

子宮収縮剤や子宮の圧迫等で出血が抑えられない場合は、子宮内バルーン・子宮動脈塞栓・輸血・手術等の様々な医療行為が必要な可能性があり、高次医療施設での検査・治療が必要になってきます。

今は「産科危機的出血」について産婦人科診療ガイドラインにも対応や基準等が詳しく書かれ、各医療機関での出血対応をシミュレーションしていると思います。

 

病院勤務時代は危機的出血で輸血や子宮摘出手術等、様々な経験をしました。産後の出血は誰にでも起こりうることですが、妊婦健診で異常なく経過し予定日前に自然に陣痛がきて順調に経過した場合のリスクは非常に低いと思います。弱い陣痛で進んだ人、逆に急速に分娩が進んだ人も子宮収縮が悪く出血は多くなりやすいです。

妊娠中に適度な運動をしながら健康的な生活をすることが、何のデータもありませんが、異常出血も減らせるのではないかと思います。

院長 橋本

院長 橋本

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