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妊娠中に不足しやすい栄養分として鉄やカルシウムがありますが、これは魚介類に多く含まれています。20年前に比べて4割程度、若い女性の魚介類摂取は減少しているとも言われ、魚介類の摂取は非常に良いことです。しかし、何でも好きなだけ食べたらいいという訳ではなく、注意してもらいたいことがあります。
食中毒・・当然、新鮮で衛生環境に気をつけて調理した物を食べましょう。
水銀・・2005年に「妊婦への魚介類の摂取と水銀に関する注意喚起」が発表されています。
なぜ水銀?・・魚は食物連鎖により、プランクトン→小魚→大型の魚と段々と水銀を濃縮して蓄積していきます。そのため、魚を食べる習慣のある日本人の総水銀摂取の80%以上は魚介類の摂取からと言われています。
もし摂りすぎると?・・水銀の中でもメチル水銀(水俣病の原因)は毒性が強く、接種すると腸管で吸収され臓器や脳に蓄積されますが、胎児でなければ尿や便等から排泄されます(半減期50日)。しかし胎児は排泄する能力が低く、胎児の脳は最も影響を受けやすいとされています。水銀の胎児の影響は、音への反応が1/1000秒以下レベルで遅れるようになることで、日常生活に影響が出るような深刻な影響ではないと思ってください。
食べていい量と目安
妊娠中はなるべく食べない方がいいです。
1週間に刺身もしくは寿司で5切れ(貫)程度
1週間に刺身もしくは寿司で10切れ(貫)程度
食中毒に気をつけて新鮮な物であれば、むしろ積極的に摂取して下さい。
妊婦健診の時に「お寿司食べていいですか?」と聞かれることがよくあります。偏った摂り方をしなければ週に1回程度はストレス解消や気分転換のために摂ってもいいと個人的には思っています。ただし、上に書いてあるように大型の魚の過剰摂取と、食中毒にはくれぐれも気をつけてください。
院長 橋本