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帝王切開分娩は全分娩の約20%程度で、今後もさらに増えていくと思われます。帝王切開となる原因は色々ありますが、1回帝王切開で分娩した場合は2回目以降も帝王切開分娩となることが多いです(TOLAC)。
最近外来で、「帝王切開は2回までですよね?」と聞かれることがありました。驚いたので、私(当院)の方針と考え方を書いておきます。
まず、基本的には帝王切開に何回までという決まりはありません。
ただ、帝王切開既往1回の場合、前置胎盤の頻度が1/100に対して、3回以上の場合は2.8/100と頻度が上昇するという報告があります。そのため、帝王切開は3回までとしている施設もあります。
実際に帝王切開をしてみると、1回目より2回目、2回目より3回目のほうが難しくなっていきます。それはどんな人でも少なからず手術の影響で癒着していくからです。昔、外科の先生と帝王切開を緊急でした際に、「外科でも3回も同じ場所を手術することはめったにないから怖い」と言っていました。
また、帝王切開の時に子宮の筋肉が薄くなり髪の毛が透けて見えるくらいになっていることもあります。そういう方は、次の妊娠を考える際は子宮の収縮に気をつけて、通常より早めの時期の帝王切開をすすめます。
妊娠した際に、前置胎盤であった場合は、大きな病院で輸血を準備したり子宮摘出の覚悟をしたりという帝王切開になることもあります。その頻度が帝王切開の回数が増えると増加していきます。
ただ、それでは実際に自分ならどうするかと言われれば、私の妻は3回帝王切開で出産しています。前置胎盤だけはどうしようもありませんが、癒着は予想して手術すれば、そこまで心配しなくてもいいかなと思います。帝王切開の5回目をしたこともありますが、慎重に手術をすれば多くは問題ありません。
帝王切開分娩を繰り返すことはリスクがありますが、1回目や2回目に手術した際に「問題ないから次の妊娠も大丈夫ですよ」と主治医の先生に言われたら、安心して可愛い赤ちゃんを計画したらいいと思います。
院長 橋本